Explore the latest books of this year!
Bookbot

Saburo Shiroyama

    男子の本懐. Danshi no honkai
    • もとより男子として本懐である――。浜口の静、井上の動、昭和初期、〈金解禁〉に命を賭けた2人の政治家。城山文学の頂点を示す、政治・経済小説の傑作。緊縮財政と行政整理による〈金解禁〉。それは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して、昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が、いかにして一つの政策に生命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説。本書「解説」より親任式の夜、浜口は「すでに決死だから、途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である」と妻子に告げる。同じころ、井上も妻の千代子に「自分にもしものことがあったとき、後に残ったおまえが、まごつくようでは、みっともない」と土地、預金など財産目録を書き出し、関係書類を手渡す。二人には、すでに悲劇への予兆があったのだろう。それと知りつつ、彼らは自身の宿命に殉じたのだった。――赤松大麓(毎日新聞論説委員長)城山三郎 (1927-2007)名古屋生れ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。一橋大学を卒業後、愛知学芸大に奉職し、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』で文学界新人賞を、翌年『総会屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』の他、『男子の本懐』『官僚たちの夏』『秀吉と武吉』『もう、きみには頼まない』『指揮官たちの特攻』等、多彩な作品群は幅広い読者を持つ。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞。

      男子の本懐. Danshi no honkai